
一級建築士矩子と考えるイベント設計思考
この巨大な塔は……建築物?
それとも工作物?
一級建築士、古川矩子(かなこ)。イベント設計に初チャレンジ中!来年7月の<ワクワクファミリーフェスティバル>の会場にはなんと巨大なバンジージャンプが設置されることに!建築現場で高所は慣れているけれど、これは怖そうだなあ~
ところでこのバンジージャンプは、建築物?工作物?

設置する構造物が
- ➀建築基準法上の何に該当するのか
- ②確認申請が必要かどうか
を整理します。
確認申請とは、建築行為の前に必要な設計図書を揃えて、会場エリアを管轄する役所の建築課に申請し、建築基準法や条例に適合しているかの確認を受けることです。
確認申請が必要かどうかは、今後の作業工程を検討する上でとても重要なポイント!

- ➀基本的に「屋根及び柱があるもの=建築物」、「屋根がないもの=工作物」と振り分けられます。
- ②工作物の種類によって決められている「申請が必要な規模」を確認します。
今回の場合は
- ➀屋根がない→工作物
- ②装飾性が高い構造物のため、工作物の種類は「装飾塔」と判断
- ③4m以上→確認申請が必要
ということですね!
この判断が、単純なようで実はとっても奥深いわけです。よくあるのが、見方によっては建築物とも工作物とも解釈できたり、工作物の種類の判別が難しいため、確認申請が必要とも不要とも解釈できる構造物。デザイナーの絵を見ながら条件を整理し方針を決め、役所に「こういう構造物です」と適切に説明できることが大事なのね!
設計側の解釈がしっかりしていないと、役所との間に誤解が生まれて、本来は必要のない申請を求められたり、オーバースペックを求められてコストがかかり、適切ではない設計になってしまうことも……。
解釈や協議次第でプロセスがガラッと変わってしまうことを肝に銘じて、「デザイナーの絵」と「審査する行政」の間を正しく繋ぐことが、一級建築士の役割なのです。
「この設置物は一体なに……?!」というところから考えるなんて、イベント設計ならではの仕事だわ。デザイナーのイメージとフジアールの方針をしっかり行政に伝えるために、早速役所に行ってきます!